石臼のこだわり

製粉技術と目立て

そば粉を決めるのは、石臼の性格と製粉技術

産地の違う玄そばを、同じ条件の石臼で挽いた場合、味わいが異なることを、ご存じですか? 一方で、同じ玄そばを石質の違う2種類の石臼で挽いた場合も、味わいがまったく異なります。これは玄そばと石臼にも相性があるからだ、と私たちは考えています。石臼にも人と同じく性格があるのです。その性格を熟知して相性良く製粉を行えるように配置するのが、私たちの製粉技術なのです。

石臼製粉の原理は、上臼の重みで玄そばをすり合わせ、出口までの距離を利用して少しずつ回転しながら実を切るように製粉します。石臼はすりあわせの時に発生する摩擦熱をほとんど蓄えないので、玄そばの繊維を壊さず、風味と水分を保ったまま、粘りのあるそば粉が挽けるのです。

機械挽き(ロール製粉)は、2つのロールの間に蕎麦の実を流しながら、一度に大量の製粉をする手法です。金属機械がどうしても摩擦熱を蓄えてしまいます。車のエンジンのように熱くなった機械の中へ蕎麦の実を入れて製粉するわけですから、香りが飛び、水分が奪われ、パサパサで焼け切った粘りの無い粉になってしまいます。

メリットは、1番粉から5番粉などの階層による取り出しや、挽き分けが出来ること。石臼製粉よりも安価で出来ることです。弊社では一部の商品にロール製粉にて扱っております。

福井県の製粉業各社は、主に石臼で製粉を行っています。国内でもロール挽きの傾向が強い中で、石臼で製粉をする――これほど品質をかたくなに守り続けている地域は他になく、誇るべきことだと自負しております。

100歳の石臼を生かす、目立て職人

今から30年前ほどまでは「目とり」といって石臼の目立てを行う専門の職人がいました。彼らは石臼を使って穀類を挽く工場に必要に応じて出向き、石臼の目や形、挽く材料を見ながら目立てを行いっていました。しかし、時代が変わるにつれ製粉業は機械化が進み、それに合わせるかのように目とり職人の数も減っていきました。

今では、目とりを行える職人は絶えてしまい、伝統を受け継ぐ私たちが一つ一つ時間をかけ石臼の目立てを行います。

石臼は上下臼の摺り合わせが重要で、1箇所でも高いところ、あるいは低いところがあるときれいな粉になりません。目立てを行う時は専用の道具で石を細かくたたき、高さを調節しながらピタリと摺り合うまで何度もめくる、重ねる、繰り返します。

目立てと摺り合わせは一発で決まれば1日で作業できますが、うまくいかない時は熟練の技を持ってしても1週間以上かかってしまう事もあります。

今、どこに問題があって、どう対処するべきなのか。

一言も声を発しない石臼との対話。これが一番難しい――。